西原天気
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
蜘蛛の囲や太陽はさびしいかたち 越智友亮
越智友亮句集『ふつうの未来』(2022年6月・左右社)所収
太陽に限らず星はおおむね球体だろうから、「かたち」をうんぬんする人は少ない。大きさや質量、軌道、地球からの距離などが星の性格の要素だろう。
けれども、この人は、「さびしいかたち」と言う。太陽という私たちに身近な恒星のことを「さびしいかたち」と。
ふだん聞かないことを言われると、そうなのか、とも思う。
どんな天体・どんな球体でもみなさびしい、というわけではなく、そのとき、太陽の「かたち」が「さびしい」と感じたのは、見てしまったからかもしれない。太陽を見つめてはいけないことはたいていの人は知っているので、よけい、「かたち」を意識することは少ない。けれども、おそらく「蜘蛛の囲」越しに、太陽の「かたち」を感じたのだろう。これはとても静かな一瞬のシーンである。「さびしさ」に最適の。
空を統べる、あるいは、私たちが生まれて暮らす仕組みを統べると言っていいかもしれない太陽とさびしさが結びついた人にとっては、すべての存在がさびしくなってしまうかもしれない。もちろんのこと、それは悪いことでも悲しむべきことでもなく、すべては、どだい、さみしいのだ。私などはとっくの昔から、そう思ってる。
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