相子智恵
雨よ永い永い昼寝ということか 赤野四羽
雨よ永い永い昼寝ということか 赤野四羽
句集『ホフリ』(2021.9 RANGAI文庫)所収
「長い」ではなく「永い」が使われているから、永遠に覚めない昼寝なのだろう。
例えば私は、こんな場面を想像する。草原で気持ちよく昼寝をしているうちに、夏の雨がきらきらと降ってきて、全身がしっとりと濡れていく。夢の中では自分が濡れていることに気づきながらも、しかし目覚めることはない。目覚めないその状況を特段焦ることもなく、「ああそうか、永い永い昼寝ということか……」と、当然のごとくに受け入れ、そのまま草に埋もれて、すやすやと何百年も眠り続けるのである。生きているのか死んでいるのかすら分からず、いつしか草原の草と自分との区別もなくなっている。
冒頭の〈雨よ〉の唐突に引き込まれる呼びかけのリズムが、覚めない昼寝を印象的なものにしている。うっとりするような幻想的な昼寝である。
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