『西鶴独吟百韻自註絵巻』(1692年頃)
【付句】二ノ折、表12句目。秋(鴫=食用)。
【句意】鴫に限らず(海魚とて)ないのが里の宿の常である。
【付け・転じ】打越・前句=松原で落葉を掻きつつ、初茸をとる里の子を想定した抜け。前句・付句=里の子から初茸を買い求めた旅人を想定し、旅宿の場面へと転じた。
【自註】同じ心の友、旅の道すがら、目にめづらしき野山をはるばると、並松(なみまつ)の海道筋を行く時、里の子をまねきて初茸を求めて、其の日のとまり宿の楽しみにすこしの*料理好みして、「此の所に鳥はないか」と亭主にたづね、「物の不自由さ、海肴(うみざかな)も八、九里まゐる」と語る。 *鴫とキノコ類は汁物の取合せ。
【意訳】気の合った友と旅の道中、見るに珍しい野山を遥々と眺めつつ、並木の松の海道筋に行きかかった時、村の子を招きよせて(持っている)初茸を買い求め、その日の旅宿での料理の楽しみにしようと、「この宿に(初茸に合う)鳥肉はないか」と主人に尋ねると、「このあたりの物の不自由なことといったら、海の魚などは(塩魚にして)30㎞以上も運んでくる」と語るのだった。
【三工程】
(前句)色うつる初茸つなぐ諸蔓
里の子まねき買うてやるなり 〔見込〕
↓
【句意】鴫に限らず(海魚とて)ないのが里の宿の常である。
【付け・転じ】打越・前句=松原で落葉を掻きつつ、初茸をとる里の子を想定した抜け。前句・付句=里の子から初茸を買い求めた旅人を想定し、旅宿の場面へと転じた。
【自註】同じ心の友、旅の道すがら、目にめづらしき野山をはるばると、並松(なみまつ)の海道筋を行く時、里の子をまねきて初茸を求めて、其の日のとまり宿の楽しみにすこしの*料理好みして、「此の所に鳥はないか」と亭主にたづね、「物の不自由さ、海肴(うみざかな)も八、九里まゐる」と語る。 *鴫とキノコ類は汁物の取合せ。
【意訳】気の合った友と旅の道中、見るに珍しい野山を遥々と眺めつつ、並木の松の海道筋に行きかかった時、村の子を招きよせて(持っている)初茸を買い求め、その日の旅宿での料理の楽しみにしようと、「この宿に(初茸に合う)鳥肉はないか」と主人に尋ねると、「このあたりの物の不自由なことといったら、海の魚などは(塩魚にして)30㎞以上も運んでくる」と語るのだった。
【三工程】
(前句)色うつる初茸つなぐ諸蔓
里の子まねき買うてやるなり 〔見込〕
↓
宿に尋ねる鴫の有るなし 〔趣向〕
↓
鴫にかぎらずないが旅宿 〔句作〕
旅人が里の子から初茸を買い求めたと見込んで〔見込〕、どんな料理にするのかと問いながら、鴫に初茸を取合わせる汁物と想定し〔趣向〕、宿の亭主との応答を一句に仕立てた〔句作〕。
この旅人、この晩はどうしたんでしょうね。
↓
鴫にかぎらずないが旅宿 〔句作〕
旅人が里の子から初茸を買い求めたと見込んで〔見込〕、どんな料理にするのかと問いながら、鴫に初茸を取合わせる汁物と想定し〔趣向〕、宿の亭主との応答を一句に仕立てた〔句作〕。
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この旅人、この晩はどうしたんでしょうね。
「そりゃ飲み食いが叶わんかったら、按摩呼ぶか、遊女呼ぶか、そんなとこやろ」
あ、ネタバレ禁止でお願いします。
「なんやお前さんが訊いてきたんやないかい」
!……またやってしまいました。
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