2024年3月23日土曜日

〔俳誌拝読〕『紙猫』(2024年1月)

〔俳誌拝読
『紙猫』仔猫句会十周年記念作品集(2024年1月)


A5判・本文46頁。京阪神を吟行する「仔猫句会」参加者による作品集(各15句)。

凧ゆれてうつかり猫のゐる暮らし  伊藤左知子

寒禽の明るきこゑのまま売られ  伊藤蕃果

時の記念日カピバラの鼻の穴  岡田由季

双六の上で眠ってしまう猫  木村オサム

願かけて酒ひっかけて法善寺  毬月

無人駅から無人駅まで雪野  蔵田ひろし

こでまりのぽんぽんと日を弾きをり  小寺美紀

月光とウツボカズラに吸い込まれ  小林かんな

とろ箱に霰打つなり糶の果  堺谷真人

2013年8月錦市場
賀茂茄子のはちきれさうに顔うつす  津川絵理子

トンネルに囀ひとつ迷ひ込む  月野ぽぽな

喃喃と葉牡丹の渦開きけり  仲田陽子

いつまでも雪へ小さく欠伸して  中山奈々

智恵光院上ル野猫と草の絮  羽田野令

全員で見る風船の行方かな  原知子

焼芋に根性のありまだぬくし  森尾ようこ

手を拭けば雲雀は高く鳴いており  森澤程

行く秋の知音知音と鉦の音  矢野公雄

放哉忌中古レコード屋を巡る  山本真也

(西原天気・記)



0 件のコメント:

コメントを投稿