樋口由紀子
どのくらいサムギョプサルでいられるか
瀧村小奈生(たきむら・こなお)1958~
ひらがなとカタカタとひらがなだけで構成された、見映えのする川柳である。サムギョプサルとはスライスした豚のばら肉を焼いて食べる韓国の豚バラ焼肉である。朝鮮語で「サム」は数字の3、「ギョプ」は層、「サル」は肉を表し、日本でいう三枚肉を意味する。ということは、三枚目を重ねているのだろうか。だったら、自分を試しているのか、あるいは誰かに言っているのか。
それは強さなのか、弱さなのか。オプチィミストなのか、ペシミストなのか。「サムギョプサル」という語感がすべてに意味をふっとばすぐらいに効いていて、洒落ている。上質なメロディーを聴いているようである。『留守にしております。』(2024年刊 左右社)所収。
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