〔今週号の表紙〕第232号 ハンバーガー同盟
藤田哲史
この世には、いろいろな縁がある。
親子の縁も、落し物を拾った(拾ってもらった)縁も、その一つだ。
そのなかで、恋というのは、なかなか物理的確証に乏しい縁である。
もしかしたら、
恋人たちがどこかへいそいそと出かけるのも、
プレゼントをしきりにあげるのも、
確証、なるものが欲しいからかもしれない。
場所や物を媒介にして、どうにか間柄をたしかめようとして。
目にみえるものが関わると、いくぶん安心すると考えて。
かくしょう。
でも、そんなものなんて、ない、とうすうす気付いてはいる。
窓の外を眺めた。
昼でもずいぶん涼しくなってきた。
かくしょう、と小さくつぶやくと、よけいに身体が冷えた、ように感じた。
もし恋人と行く場所が、決まってハンバーガー屋さんであるなら、
その人とのほんとうの間柄は、恋人ではなく、”ハンバーガー同盟”なのではあるまいか。
そう考えてしまえば、恋心がうすれてしまっても、
その人と一緒にハンバーガーを食べに行く間柄を続けることができるではないか。
これは、すばらしい思いつきだ。
そして、いつかハンバーガーに厭きはじめたら、次の”同盟”を考えたらいい。
考えつかなかったら、”何の同盟にするか考えよう同盟”をむすべばいい。
撮影場所:RACCOS BURGER(岡山)
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