樋口由紀子
花を摘む少女いつから白い髪坂東乃理子 (ばんどう・のりこ) 1954~
花は桜ではない。「摘む」だから野の草花だろう。花を摘んでいたはずの少女がいつからか白い髪になっていた。世にも不思議な物語のような、ちょっと怖いファンタジーの世界である。「白い髪」はそうなったという現象ではなく、少女が別の世界に連れていってもらったという心象だろう。
少女とは作者自身のことかもしれない。喜怒哀楽の感情では括りきれないなにがしかの変化を自らの身体というものへの思いを通して表現しているような気がする。
〈すれ違う人々すべて鎌を持つ〉〈オフィリアが流れついたか人だかり〉『おもちゃ箱』(編集工房円 昭和61年刊)
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