相子智恵一灯に見てとる雪のはやさかな 長谷川耿人
句集『波止の鯨』(2011.9/本阿弥書店)より。
今年は東京で雪に出会うことが多くて、幼い頃から雪に親しんできた私は、内心少しテンションが上がっている。
さて掲出句、夜の雪である。街灯や車のヘッドライトで雪に光が当たると、まるでそこだけスポットライトが当たったように、降る雪の動きがよく見える。
さらさらの雪の上に雪が降り積もるときは雨のように音はしないから、ついつい雪はふわりと、ゆっくり落ちているような気がしてしまう。が、その意外な速さに驚くのだ。このぶんだと明日の朝はきっと、かなり積もるのだろう。
無音の雪の存在感が目の前に迫ってくる。鮮やかな雪の一句である。春はもうすぐだ、とうれしくなる「王道の風景句」である。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿