●月曜日の一句〔小池康生〕 相子智恵
相子智恵燃えだすも咲くも四月のひとしごと 小池康生
句集『旧の渚』(2012.4/ふらんす堂)より。
何かと忙しい四月も、今日で終わりだ。毎年、ドドドッと連休になだれ込んで、四月が終わってゆく。
掲句、なるほど花が咲き乱れるのは〈四月のひとしごと〉である。
そして〈燃えだす〉のも四月の仕事だと言われれば、それは一瞬の驚きとともに、確かな実感をもって迫ってくる。〈燃えだす〉の熱さや高揚感、そして痛みは、四月という季節が、ただの花咲く美しい季節ではないことを伝えてくれる。春は美しく楽しい季節であるとともに、万物が一斉にメラメラと燃えるように動き出す「しんどさ」もあるのだ。
〈縦書きの詩を愛すなり五月の木〉
明日からは五月。四月にくらべてすっきりとした風通しのよい五月を、作者は〈縦書きの詩を愛す〉る月だと捉えた。
そうだ、すっきりとした五月は〈縦書きの詩〉を愛そうか。なかでも俳句という、短い詩を愛するのはどうだろう。
新緑の〈五月の木〉のように一本すっくと伸びた、瑞々しい俳句という詩を。
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