コモエスタ三鬼 Como estas? Sanki
第32回
うごく
西原天気
枯蓮のうごく時きてみなうごく 三鬼(1947年)
句のどこをとっても「描写」。「物語」も「鮮烈なイメージ」もない。三鬼作のなかでは、俳句の伝統的な骨法を用いた成功例、言い換えれば当時の「伝統俳句」畑から生まれてもおかしくない句にも見える。つまり、新興俳句っぽくない(なにしろ沖積舎『西東三鬼全句集』では、この句の次が《露人ワシコフ叫びて柘榴打ち落す》なのだ)。
しかしながら、「動くときは動くんだし、動かないとき動かないんだよ」てなふうに読めば、ある種メタ的な達観にも思えてきて、マジメな描写とはちょっと違う。三鬼は、やっぱり不思議だなと思う。
なお、この句は、日めくり詩歌 俳句 高山れおな (2012/06/08)で取り上げられている。
≫http://shiika.sakura.ne.jp/daily_poem/2012-06-08-9166.html
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