2012年7月21日土曜日

●山手線

山手線




小夜時雨上野を虚子の来つゝあらん  正岡子規

始めは雨終り泥酔鶯谷  高野ムツオ

西日暮里から稲妻見えている健康  田島健一

煤けむる田端にひらふ蛍かな  室生犀星

駒込の不二に棚引蚊やり哉  一茶

詩篇あり東京巣鴨の食堂に  攝津幸彦

すこし酔ひ跣足で歩く池袋  岡田史乃

高田馬場純喫茶白鳥にてくさる  攝津幸彦

新宿ははるかなる墓碑鳥渡る  福永耕二

そのむかし代々木の月のほととぎす  臼田亜浪

原宿と越すさき聞きぬ秋隣  久保田万太郎

渋谷てふ不思議な街の青蜜柑  皆吉司

歩き出す今日は目黒の祭かな  岸本尚毅

降ろされて大崎止りいわし雲  宮津昭彦

品川の富士も鯨もいまむかし  西原天気

巷では新月幻視派で田町  井口吾郎

新橋に居ると電話や花の果  依光陽子

大寒の東京駅にひとを待つ  鈴木しづ子

金獲たり本の神田の雁高し  松崎鉄之介

秋葉原男二人の晩夏かな  菊池達海〔*〕

山手線の日の中にゐる卒業子  斉藤夏風


〔*〕第13回(2010年)俳句甲子園より

1 件のコメント:

  1. 小林旭の「恋の山手線」および「自動車ショー歌」で「山手線」堪能させていただきました。ナイス♪

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