ナイトラウンジ
中嶋憲武
最近社長が近所のスナックのジャズ好きの主人に感化されたらしく、配達の車内で「これいいだろう」といろいろジャズのコンパクトディスクをかける。
今日聴いたのは、青江三奈がニューヨークで公演したときのものらしく、ニューヨークのミュージシャンをバックに従え、「伊勢佐木町ブルース」「恍 惚のブルース」「池袋の夜」などを日本語で歌っている。バックの演奏ももちろんいいが、青江三奈の歌唱もまた素晴らしい。一番最後のドドンパ調の曲のアレ ンジが格好良く、このコンパクトディスクはぜひ欲しいと思った。社長が貸してやるよと言ったが、僕はついさっきamazonでポチっとしてしまった。なん というかこのアルバムには、グランドキャバレーとかナイトクラブの雰囲気が横溢していて、僕はまったく酒が飲めないけれども、もう失われてしまったであろ う昭和が持っていた陰影のあるゴージャスさというか、そういった雰囲気が確実にある。
青江三奈逝く夕焼けの雲ひとつ
と、詠んだのは2000年の夏だからあれから13年経ってしまった。むかしから青江三奈はテレビなどでよく見ていたが、演歌のおばさんという印象 で好きでも嫌いでも(むしろ演歌ということで嫌いのほうにシフトしていたかも)なかったが、学生時代ジャズなどもちらほら聴くようになり、ヘレンメリルを 聴いたとき青江三奈が you’d be so nice to come home to を歌ったらいいかもと思ったのがきっかけで、青江三奈を歌手として見直すようになった。実際青江三奈は、ジャズも歌っていて、さっきの「帰ってくれて うれしいよ」も歌っている。いいのである。
僕が持っている青江三奈のアルバムはいまのところ二枚。そのうち三枚になるが。
一枚目は、「女の警察」という青江三奈が出演した映画の劇中歌と劇中音楽をセレクトして構成されたアルバム。劇中音楽のほとんどを佐藤允彦が担当 していて、バカラック風のアレンジがいま聴いても、とてもよい。1960年代から70年にかけて江崎実生や斎藤光正が監督した日活映画に使われた楽曲群 だ。
二枚目は、「the shadow of love」というタイトルのジャズのスタンダードを全曲英語で歌っているアルバム。MAL WALDRON、GROVER WASHINGTON JR.、FREDDY COLE 等と共演していて、伊勢佐木町ブルースも、BOURBON STREET BLUES というタイトルで歌われている。何年かまえ新宿の裏町のディスクユニオンで偶然見つけ、衝動買いしてしまったのだが、思っていた以上によかった アルバムである。
冬の夜は青江三奈聴いて夜更かしするに限る。
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