2013年1月5日土曜日

●海鼠語

海鼠語


ひろごりて時雨ごころの海鼠かな  永田耕衣

崑崙の星の夜を知る海鼠かな  五島高資

階段が無くて海鼠の日暮れかな  橋閒石
ナマコの採取と加工には労働力が要った。ホンナマコは現地の市場で買い集めればいいというものではなかった。作って運ばねばならない。その労働力を集めるのに西洋の船乗りは苦労した。苦労したというと聞こえはいいが、アフリカで行なっていたのと同じような奴隷掠奪を太平洋海域で敢えてしていた。オーストラリアでは〝人さらい防止法案〟まで制定された。こうした種族的混乱のはてに、ニューカレドニアではナマコ語なる混交言語が生れた。(鶴見良行『ナマコの眼』筑摩書房・1990年)
無為にして海鼠一万八千歳  正岡子規

避雷針高々とある海鼠かな  岸本尚毅

海鼠噛む汝や恋を失いて  西東三鬼


〔過去記事〕2009年12月15日 海鼠
http://hw02.blogspot.jp/2009/12/blog-post_15.html

0 件のコメント:

コメントを投稿