〔今週号の表紙〕
第322号 ホトトギス?
有川澄宏
「時鳥」と思っています。
みなさまご存じのように、日本で繁殖するホトトギスの仲間は、いずれも姿形が似ていて、遠くからのちょい見では、判別がつきにくく、悩まされます。
ただ、一声鳴いてくれれば、あっ「カッコウ」(鳴き声・カッコウ)だ、「ホトトギス」(特許許可局)だ、「ツツドリ」(ポポ、ポポ)だ、「ジュウイチ」(ジューイチー)だと、一気に分かるのですが‥‥。
この鳥、写真を撮り終わっても一向に鳴いてくれません。
子供の頃からこらえ性の無い私が、ついにしびれを切らし、「珈琲でも飲みに行こうよ」と若い人たちを誘ってしまいました。私たちが去った後で、やれやれと安堵の声を上げたかも知れません。ここは「鳴くまで待とう‥‥」の家康の忍耐力があれば良かったのにと、反省しています。
図鑑を何冊も当たったうえで、環境も加味して、ホトトギスと決めました。
心情的な理由もあります。何と言っても、万葉集いらいの時鳥人気は今でも衰えていないのでは、と思います。私の中でも一番格好いい鳥のひとつです。昔からいろいろな人生を
重ねあわせて、多くの漢字をこの鳥の名に当てはめてきたようです。
私の家は、丘陵地の林に囲まれたところにあるので、毎年、時鳥がやって来ます。今年の初音は、5月19日でした。例年よりやや遅い飛来でした。今も一日中鳴いています。託卵相手の鶯も鳴いています。
初音も聴いたし、鰹も食べたし、まずまず今年も良い夏の訪れです。
そして、織田信長の末裔を名乗る、スケート選手織田信成が、「鳴かぬなら、それでいいじゃん、ホトトギス」と言ったとか‥‥。これで良いことにしましょう。
■ありかわ・すみひろ
1933年、台北市生まれ。「古志」「円座」所属。「青稲」同人。web連歌参加。
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