樋口由紀子
信号を守ると多分遅刻する
天野堯亘 (あまの・たかのぶ)
先日、我が家に車で来た友人が着いてすぐに「信号の黄色は止まれだよね」と不思議そうに聞いてくる。彼女の住む県では黄色なら車は当然止まるのに、ここではどの車も止まらずに進むので、危なくて仕方がなかったと言う。う~~ん、どちらかと言われれば私も黄色ならそのまま行ってしまう方かなと答えた。だって、後続車は止まらないだろうから、追突されそうな気がする。それに慣れてしまっている。当地はせっかちな所なのかもしれない。
信号の黄色でいちいち止まっていたのでは遅刻する人は多くなるだろう。早く家を出ればいいのだけど、わかっているけれどできないというのもよくわかる。信号に限らず、決まりを守っていただけではことがすまないことは生活をしていく中でいっぱいありそうな気がする。『秋桜』(天野堯亘追悼作品集 1995年刊)所収。
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