樋口由紀子
銅像になっても笛を吹いている
久保田紺 (くぼた・こん) 1959~
そのような銅像がある。他にも正座したまま、ステッキを持ったまま、犬を連れたもの、二宮金次郎なんかずっと薪を背負ったままである。彼女の銅像に向ける眼差しはやさしい。それでいて鋭い物の見方である。過度に物語化せずに、素直で衒いのない表現に真のリアルを感じる。銅像とはなんやろ、人間とはなんやろと考えてしまう。
久保田紺の見ているものは今本当におもしろい。彼女の投げる川柳はふんわりと飛んできて、すぽんと音をたてて入る。その感触はいつまでも残る。やさしさとかなしさが人一倍わかる人なのだ。〈キリンでいるキリン閉園時間まで〉〈そっくりに怒り続ける九官鳥〉〈ざぶざぶと醤油をかけて隠すもの〉(「川柳カード」3号 2013年7月刊)収録。
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あ、この人はおもしろい。
返信削除瞬間的にそう感じ、それから
つくづく感心しました。