相子智恵
敷物のやうな犬ゐる海の家 岡田由季
『犬の眉』(2014.7 現代俳句協会新鋭シリーズ4)より。
とある海岸の、とある海の家の看板犬なのだろう。〈敷物のやうな〉から、この犬は毛足が長くて大きな犬ではないかと私は想像した。海の家は夏季限定の仮設の建物だから、きっと冷房もままならないのではないか。そこに大きな犬が暑そうにべったりと寝そべっている。まさに敷物のように、床の上に伸びているのだ。お客さんが撫でたりしても、愛想もなく、少し目を上げるくらいで。
意外な場所にいる犬の姿を描いていて楽しい句だ。海の日差しは遮るものもなく、ぎらぎらと輝いている。海の家のような日蔭が恋しい、暑くて天気の良い海水浴日和の一日であることも、この犬によって見えてくるような気がする。
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