樋口由紀子
どんな日になるのか靴の紐が切れ
鈴木柳太郎
靴の紐が切れたらよくないことがおこると言う風説があるが、今朝、靴の紐が切れた。この靴も長く履いているので、紐も弱くなったのだろう。用心して一日を過ごしなさいということだろうが、あまりいい気分ではない。かといって、今日一日をパスするわけにも、今日をなしにするわけにもいかない。いつもと同じように過ごすしかなく、気にしてもしかたないが、やはり気になる。
「どんな日になるのか」と表現はおとなしいが、心の揺れがわかり、人生の哀歓の片隅がにじむ。経験に基づいて、人の微妙な心理の綾をついている。人が生きて、生活していくのはこういうことの繰り返しである。
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