相子智恵
国霊やコンビニの灯を門火とす 真矢ひろみ
「-夏行帖- 皇紀2674 愛国」(『俳句新空間』No.2/2014.8 豈の会)より
〈国霊〉とは作者の造語で、人の霊ではなく日本という国の霊ということなのだろう。日本の国の霊は盂蘭盆になると、国内に無数にあるコンビニエンスストアの灯を、迎える側の〈門火〉として帰ってくるというのだ。なかなかシュールな、現代社会を批評的に描いた句である。
24時間煌々と点るコンビニエンスストアの灯に、私たちは日々、利便性という恩恵を受けていながらも、どこかで空しさを感じているように思う。その便利さと虚しさの二重性と、文明の進みきったいま、この国を覆う空虚で鬱々とした実体のない「空気」のようなもの。それを国の霊と、迎えるために焚かれた門火だと詠んだ発想にはハッとさせられる。
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