2014年11月21日金曜日

●金曜日の川柳〔三浦蒼鬼〕樋口由紀子



樋口由紀子






梟になれるポイント貯めている

三浦蒼鬼 (みうら・そうき) 1956~

ポイント社会である。財布はポイント券のカードが溢れて、ぱんぱんに膨れ上がっている。ガソリンを買ってもパンを買っても、ネットで買い物をしても、なんでもかんでもポイントが付く世の中である。ポイントが貯まって、値引きしてもらったり、モノと交換してもらうと、得したような気になる。確かに得をしているのだが、ポイントに振り回されているようにも感じる。

「梟」は比喩としても読めるが、私は「梟」そのものとして読んだ。梟は止まり木でじっと見ていて、不思議な雰囲気があり、得体のしれなさがある。変身願望の一つとしてはありかもしれない。でも、ポイントを貯めてまで、しいてなりたいだろうか。現実的かもしれないが、私は夜出て、ノネズミなんか捕りたくない。がんばってポイントを貯めても梟だったら、パスして、もういいかなと思う。ポイント社会を揶揄しているとも読める。「おかじょうき」(2014年11月号)収録。

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