樋口由紀子
四基みな過去を忘れたふりをする
北田惟圭 (きただ・ただよし)
福島原発事故からもうすぐ四年が経つ。復興は進んでいない。事故処理や除染や健康対策が動いているようには見えない。「アンダーコントロール」されていない。報道も少なくなった。東電や政府は忘れたふりを通り越して、すっかり忘れてしまっているかのようである。御上の人はふりをするのが上手である。
しかし、福島原発の四基は忘れたふりをしているだけで決して忘れてはいない。忘れられるわけがない。置き去りにされていることへの怒り、責任回避と失敗の積み重ねへの痛烈は批判である。「過去」がふたたび起こる可能性も否定できない。地震は頻発におこっている。
〈ゼノンの亀と手を繋ぐアベノミクス〉〈明日は汲む 核の汚れのない水を〉〈幕上がる兵器会社が花道に〉 『点鐘雑唱』(2014年刊)所収。
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