2015年12月7日月曜日

●月曜日の一句〔西村和子〕相子智恵



相子智恵






寒禽の取り付く小枝あやまたず  西村和子

シリーズ自句自解1 ベスト100『西村和子』(2015.10 ふらんす堂)より

〈小枝〉が選ばれていることで、この寒禽が小さな鳥であることがわかる。取り付いたのは裸木なのだろう、小枝や小さな鳥がよく見える。

一羽の寒禽と読んでもよいのだろうが、〈あやまたず〉が活きるのは、群れ飛んできた複数の小鳥であるように思う。ぱらぱらと飛んできて、ぴりしと、吸いつくようにひとつの小枝に並んだ。暖をとるために小さな体を並べている冬の小鳥の姿は可愛らしいが、よく考えてみると一羽も〈あやまたず〉その小枝を選んでいるのである。

「かんきん」という響きの厳しさと、〈小枝あやまたず〉のきっぱりとした措辞、K音の響きが、寒くても凛とした空気を感じさせる。

自句自解シリーズのうちの一句。対応する自解には、師の清崎敏郎に「こうした句、自然に厳しい目をむけている花鳥諷詠派でないと理解できないかもしれない」と評されたと書かれている。そうであるかもしれないし、案外そうでもないような気もする。

0 件のコメント:

コメントを投稿