樋口由紀子
革命を考えているおばあさん
鈴木節子(すずき・せつこ)1935~
若い頃、選挙結果を見て、政治の行く末が明るくないのはおじいさんおばあさんたちが足を引っ張っているからだと思っていた。しかし、今は若い人たちはちゃんと現実を見て投票しているのかと不安になる。この先はだいじょうぶなのかと心配になる。戦争の怖さを知っている年配の人ほど今を憂慮している。おばあさんは居ても立っても居られない。度し難く、憂慮ぐらいではすまないから「革命」なのだろう。
昨年の12月に刊行された句集には〈痛そうな感じ祖國とか國家とか〉〈軍艦マーチ飛ぶ気にさせる鶏を〉〈殺処分 こんな漢字は見たくない〉〈殺されず殺さず今日は無事でした〉など芯のある川柳が並ぶ。〈或る日突然村を棄てよという御触れ〉〈漏れている色も匂いも音もなく〉〈桃の咲く故郷に行く防護服〉 震災記と題された川柳。『おぼろ夜情話』(2016年刊)所収。
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