2018年2月4日日曜日

〔週末俳句〕散歩散歩散歩 西原天気

〔週末俳句〕
散歩散歩散歩

西原天気


別々の作者の2句ないし数句を勝手に並べて楽しむという遊びを「組句(くみく)」と名付けているが(≫例)、これにはもっといいネーミングがありそう。

似ているということではない。類句ということでもけっしてない。たいていは本歌取りではなく、別々の場所・別々の意図でつくられた句。それを読者として勝手に隣り合わせに並べて楽しむ。読みのカスタマイズというか、私的コレクションというか。

例えば、2句が会話する。

ヒヤシンスしあわせがどうしても要る  福田若之

ヒヤシンスじゃあどうすればよかったの  八上桐子


福田若之『自生地』2017年8月31日/東京四季出版(≫amazon
八上桐子『hibi』2018年1月18日/港の人(≫こちら)(≫amazon


もうひとつ。こちらは時間の経過。

硝子戸を隔てて冬の深きこと  黄土眠兎

もう春が来てゐるガラス越しに妻  山田露結


黄土眠兎『御意』2018年1月/邑書林(≫こちら
山田露結『永遠集』2017年12月12日/文藝豆本ぽっぺん堂(私家版)



俳句を始めたおかげで散歩が好きになりました。吟行で散歩を覚え、やがて吟行には消極的になりましたが(散歩が楽しすぎて、俳句どころではない)、散歩が私に残ってくれました。

土曜日は、神田駅から室町を抜け、東京駅八重洲口へ。ここまで某吟行句会に便乗。そののち、銀座へ、有楽町へ、電車を使って鶯谷へ、入谷を抜けて浅草へ、戻って上野へ、御徒町へ。半日歩き回る。

途中、純喫茶に入ると、カウンターに文鳥が飛び交い、コーヒーを淹れるマスターの腕にとまったり、餌をついばんだりという、夢のような光景。でも、あれは、夢ではなかった。

日本橋の和紙店「はいばら」で封筒を3種購入。
包装紙がすこぶるキュート。



『川柳ねじまき』#4(2018年1月15日)をめくると、二村典子による田島健一『ただならぬぽ』評、『街』第129号(2018年2月1日)をめくると、大塚凱による北大路翼『時の瘡蓋』評、『里』2018年2月号をめくると、諸氏による上田信治『リボン』評。



町のところどころに雪が残る節分・立春。みなさま、すこやかにお過ごしください。

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