散歩散歩散歩
西原天気
別々の作者の2句ないし数句を勝手に並べて楽しむという遊びを「組句(くみく)」と名付けているが(≫例)、これにはもっといいネーミングがありそう。
似ているということではない。類句ということでもけっしてない。たいていは本歌取りではなく、別々の場所・別々の意図でつくられた句。それを読者として勝手に隣り合わせに並べて楽しむ。読みのカスタマイズというか、私的コレクションというか。
例えば、2句が会話する。
ヒヤシンスしあわせがどうしても要る 福田若之
ヒヤシンスじゃあどうすればよかったの 八上桐子
福田若之『自生地』2017年8月31日/東京四季出版(≫amazon)
もうひとつ。こちらは時間の経過。
硝子戸を隔てて冬の深きこと 黄土眠兎
もう春が来てゐるガラス越しに妻 山田露結
黄土眠兎『御意』2018年1月/邑書林(≫こちら)
山田露結『永遠集』2017年12月12日/文藝豆本ぽっぺん堂(私家版)
俳句を始めたおかげで散歩が好きになりました。吟行で散歩を覚え、やがて吟行には消極的になりましたが(散歩が楽しすぎて、俳句どころではない)、散歩が私に残ってくれました。
土曜日は、神田駅から室町を抜け、東京駅八重洲口へ。ここまで某吟行句会に便乗。そののち、銀座へ、有楽町へ、電車を使って鶯谷へ、入谷を抜けて浅草へ、戻って上野へ、御徒町へ。半日歩き回る。
途中、純喫茶に入ると、カウンターに文鳥が飛び交い、コーヒーを淹れるマスターの腕にとまったり、餌をついばんだりという、夢のような光景。でも、あれは、夢ではなかった。
日本橋の和紙店「はいばら」で封筒を3種購入。 包装紙がすこぶるキュート。 |
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『川柳ねじまき』#4(2018年1月15日)をめくると、二村典子による田島健一『ただならぬぽ』評、『街』第129号(2018年2月1日)をめくると、大塚凱による北大路翼『時の瘡蓋』評、『里』2018年2月号をめくると、諸氏による上田信治『リボン』評。
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町のところどころに雪が残る節分・立春。みなさま、すこやかにお過ごしください。
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