2019年7月11日木曜日

●木曜日の談林〔柏雨軒一礼〕浅沼璞



浅沼璞








 此(この)池波の小便に月    一礼(前句)
うたかたの泡五六服霧たてゝ    同(付句)
『投盃』第三(延宝8年・1680)

立小便の泡を抹茶のそれに見立てた付合。

付句では「……服」「……たて」と茶道の縁語をつかいながら、「月」を受けて「霧」で秋のあしらいをしてる。



それにしても泡が五六服とは、ぷくぷくした感じで笑える。

結句に至っては、狭霧つまり水しぶきがたってるようで尚笑える。



ちなみに談林で小便の句といえば「しゝ/\し若子の寝覚の時雨かな」(両吟一日千句)の西鶴発句が知られてるが、付句でも「小便はちく/\出て物思ひ」(独吟一日千句)などと際どい恋を西鶴はしてる。


〔柏雨軒一礼(はくうけん・いちれい)は大坂商人で宗因門。『投盃』(なげさかづき)は独吟百韻十巻を収めた連句集。〕

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