2020年1月20日月曜日

●月曜日の一句〔宮田應孝〕相子智恵



相子智恵







名古屋晴関ヶ原雪京都晴   宮田應孝

句集『空の涯』(ふらんす堂 2019.11)所載

地名と天候だけでできていて、面白い。東海道新幹線の車窓の景色を思った。名古屋駅付近では晴れていたが、関ヶ原、米原のあたりでは雪が降っており、そして京都に着けば、また晴れているのである。自動車の旅でもよいのだろうが、このスピード感のある調子のよい味わいは、やはり新幹線の速さだろう。確かに関ヶ原のあたりは雪のことが多い。

〈関ヶ原〉の地名が効いている。土地の雪深さはもちろんのこと、戦国時代最後の戦い「関ヶ原の戦い」が思われ、雪の荒々しさ、激しさを想像させるのだ。

そして、この雪の匂いと湿り気を保ったまま〈京都晴〉まで読み進むと、今度はしんしんと底冷えのする、雪晴れの京都が心に浮かぶ。〈名古屋晴〉と〈京都晴〉では、その晴れ方も空の色も違う。私には、名古屋には雪がなく、京都では雪が積もっているように感じられた。

単純な仕立ての中に、深みと大きさ、スピード感があり、これも五七五の短い俳句ならではの表現だな、と思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿