相子智恵
立ち枯れてあれはひまはりの魂魄 照屋眞理子
句集『猫も天使も』(2020.7 角川書店)所載
〈魂魄(こんぱく)〉とは死者の魂のこと。古来中国では、「魂」は精神を司る気、「魄」は肉体を司る気とされており、人が死ぬと魂は天に帰し、魄は地に帰すと考えられた。
掲句、ひまわりの枯れ方はまさに〈立ち枯れて〉で、太い首をうなだれながらも、首から下はすっくと立ったままである。枯れてもなお気迫があって力強い。精神を司る気だけではなく、しっかりと地に立ち続ける太い茎からは肉体の気も感じる。ただの「たましい」ではなく〈魂魄〉であることに、ひまわりらしさが感じられてくるのだ。「こんぱく」という音の強さも、ひまわりの力強い美しさを際立たせている。
本書は、照屋眞理子の遺句集となってしまった。
わたくしを捨てに銀河のほとりまで 同
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