相子智恵
秋澄みて宣誓のまつすぐな腕 甲斐のぞみ
句集『絵本の山』(2020.7 ふらんす堂)所載
説明の要らない鮮やかな写生句である。運動会や体育祭、あるいは部活動の大会などであろう。秋の澄んだ空気の中で、開会式の選手宣誓が行われている。生徒代表の腕は真っ直ぐに秋の空へと伸びて、高らかに宣誓の言葉を告げている。
〈まつすぐな腕〉は、見えている以上のものを確実に伝える。それは選手の誠実さだったり、緊張感だったりといった内面だ。凛とした〈まつすぐな腕〉は、すべてが美しく見える澄んだ空気の中で、何よりもまぶしい。
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