針と釘
西原天気
月光を針千本にかへてやろ 柿本多映
月光が釘ざらざらと吐き出しぬ 八田木枯
月光を鋭利に感じたことはないが、金気(かなけ)のようなものはあるような気がする。形状よりも質感や匂いが(光はさわれないし香りはないという指摘はさておき)、月光を針や釘に結びつけるのかもしれない。
柿本多映(1928-)と八田木枯(1925-2012)はほぼ同世代。掲句。主体が異なり、前者のほうがアクティブ。作者/作中主体が働きかける。
柿本多映『拾遺放光』2020年/深夜叢書社
八田木枯句集『鏡騒』2010年/ふらんす堂
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