2021年12月27日月曜日

●月曜日の一句〔青池亘〕相子智恵



相子智恵







畳まれし毛布の上の絵本かな  青池 亘

句集『海峡』(2021.12 東京四季出版)所載

冬の朝、きちんと畳まれた布団。その上に畳まれたふかふかの毛布の上には、昨晩読み聞かせをした絵本が置かれたままになっている。

句の背後に、毛布をきちんと畳む丁寧な人が見えてくるのに、一方の絵本は本棚に戻すことなく毛布の上に置かれたままだということは、子どもが大好きな絵本なのだ。今晩も(そしてきっと明日の晩も、明後日の晩も……)この絵本を読み聞かせてもらいながら子どもは眠りにつくのだろう。寝室の毛布の上につねに置かれたままの、幸せな絵本なのである。

毛布と絵本のぬくもりが、そのまま家族のあたたかさにつながっていく。感情を一切述べなくても、その風景だけで愛おしい日常が伝わってくる。

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