相子智恵
いつも雨都をどりに行く時は 和田華凛
いつも雨都をどりに行く時は 和田華凛
句集『月華』(2022.3 ふらんす堂)所載
「都をどり」は、祇園甲部の芸妓・舞妓による舞踊公演。明治5年から続く、京都に春を呼ぶ華やかな風物詩だ。
作者は毎年のように観にいっているのだろう。都をどりは、4月の約1か月にわたって行われるそうだが、作者が観に行く時はきまって雨なのだという。都をどりには、春の雨のやわらかさもよく似合う。〈いつも雨〉と、少し面白がっているようにすら思える軽やかな書きぶりにもそれがよく表れている。音もやわらかく、すっと覚えられて愛唱できる、軽やかな春の一句である。
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