2022年10月17日月曜日

●月曜日の一句〔五十嵐箏曲〕西原天気



西原天気

※相子智恵さんオヤスミにつき代打。




赤い羽根つけて推定Fカップ  五十嵐箏曲

「赤い羽根共同募金」は戦後すぐの1947年スタート。意外に歴史は古い。期間は10月1日から(都道府県で違いはあるが)半年間。意外に長くやってる。けれども、10月になると、テレビに映る政治家が揃って胸に赤い羽根を付けているので、10月がシーズンというかんじ。俳句でも10月の季語として扱われる。

掲句は、景として、一読明瞭。赤い羽根の背景となる衣裳について何を思うかは、読者によってさまざまにせよ。で、おおいに揺れていそうです、この着色された鳥の羽根。

豊穣を連想させるその胸は、「貧しい者」を救済せんとする募金にふさわしい。かもしれない。でも、それとはべつに、ちょっとシニカルで、たぶんに劣情(もちろんのこと素晴らしい感情です)的。言い換えれば、俳句的。きわめて俳句的な一句。

『アウトロー俳句 新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」』(2017年12月/河出書房新社)所収。

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