もういっちょ数えてみました
続・「や」「かな」「けり」の頻度
さいばら天気
週刊俳句・第83号に「ひたすら数えてみました『や』『かな』『けり』の頻度」という記事を書きました。高浜虚子の「や・かな・けり」率が14.7%(七五〇句・1951~59年)と意外に低いことに少々驚きましたが、そうこうするうち、子規も数えてみたくなりました。
で、『子規365日』(夏井いつき・朝日新書2008年8月)の365句。結果、とても興味深い数字が出ました。
「や」75句(20.5%)、「かな」86句(23.6%)、「けり」61句(16.7%)
計222句(60.8%)
高い! 「や・かな・けり」率はじつに6割です。
子規全体がそうなのか、夏井氏のセレクションがそうなのか。おそらく前者だろ思いますが、確かめたい方は、子規句集をカウントしてみてはいかがでしょう (私はさすがに数え疲れました)。ただし虚子編の子規句集は季語別編集なので、延々と「あつさ哉」が並んでいたりして、数えるにはラクというか、読むにはそうとうキ ツいというか。ともかく覚悟が必要です。
閑話休題。3つの切れ字の頻度は、子規がきわめて高く、虚子がかなり低い。このことが何を示しているのか、興味がわきます。ひとつの憶測として、子規の「俳句」のプリミティブな型から、虚子が修辞上のヴァリエーションを殖やしていった結果、と考えたりもしましたが、あまりアテにはなりません。
なお、カウントの材料に使った『子規365日』は、解説が短く、子規の俳句を愉しむのに適当。前述『子規句集』でメゲたという人も(私がそうです)、セレクションなら帯の謳い文句にあるとおり、「軽快で、無邪気で、激烈で、執拗で、ぬけぬけと明るい子規」が楽しめます。
〔amazon〕『子規365日』
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