【俳誌拝読】
『や』第57号(2011年10月30日)を読む
西原天気
発行人・戸松九里。本文52頁。同人諸氏それぞれ10句ずつを掲載。ほかに、外部から「『や』56号を読む」の寄稿(この号は今井肖子氏)、同人・関根誠子第二句集『浮力』特集、「や」15周年関連の記事など。
同人諸氏10句より。
花火咲ぐたあだそれだげで泣ぐ泣ぐ泣ぐ 菊池ゆ鷹
方言(東北弁のひとつ?)で10句。
真つ直ぐな煙三尺瓜の馬 久能木紀子
クチナシの花の仰山母細し 石井 和
八月やお腹が減ると見る時計 遠藤きよみ
見ますね、たしかに。
暑さ蒸し蒸し家計簿のぼうぼう 吉野さくら
「ぼうぼう」の感興。
通学の後の通勤朝曇り 中村十朗
我画雅餓蛾偽妓疑義愚解夏吾伍後誤語 関根誠子
雷鳴や原稿用紙の薄きマス 松田磨女
大西日富士を見やうと崖の上 小山 渚
めりめりと割れば西瓜の呵々大笑 のら
蔓あぢさゐ見あげる鼻の穴涼し 三輪初子
炎天のベンチに正座無精ひげ 中沢 春
毒りんごめきて大暑のりんご飴 菊田一平
あんまりなのけ反りやうや今年竹 矢島哺陀
八月の夫婦茶碗の底に月 柏原空見子
実柘榴の天変地異の入歯かな 豊田美根
天変地異!
学校にいうれい話麦の秋 麻里伊
目の前のバッタ大腿四頭筋 石川ひろ子
笑ふ眼に涙滲みて秋の蝶 田中由つこ
一面の空と瓦礫と秋近し 三瓶つなみ
月の無い夜を背負うてカブト虫 田沼塔二
蝿生れて障子を叩く命かな 戸松九里
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