2012年2月1日水曜日

【俳誌拝読】『大(ひろ)』2012年新年・冬号を読む


【俳誌拝読】
『大(ひろ)』no.20(2012年新年・冬号)を読む

西原天気


発行人・境野大波。本文ページ数44頁。招待作家、同人諸氏の俳句作品、その選評・観賞のほか、俳論、エッセイ、書評等、ヴァラエティに富む誌面構成。
能の世界では、たとえどんなに悲惨な人生を描いたものであっても、多くは最後に舞を舞うことによって救われる、と虚子は述べている(『俳句への道』)。つまり、現世の地獄から極楽世界への転移を、舞い歌い遊ぶことで実現するのだが、そうし極楽の文学こそが俳句なのだ、と虚子は言いたかったようだ。(境野大波「悪人の俳句」)
以下、何句か。

聞耳を立つる蓑虫あらば切れ  ふけとしこ(招待席)

金華山より下りてきし猪道か 境野大波

雲下りて来る山早く眠れよと  花房なお

白桃を啜りて着きぬ川つぱら  前田りう

数珠玉の色づくほどの風そよぐ  石田遊起

どの舟も波に揺れをる帰燕かな  井関雅吉

かたつむり冬の日差しの石垣の  遠藤千鶴羽

鐘ついて綿虫育てゐたりけり  武井伸子

ひとところぐでんぐでんの酔芙蓉  土岐光一

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