新シリーズ
関悦史「水曜日の一句」
スタート記念 前夜祭
関悦史
一書に昆布(こんぶ)
または牛(うし)の糞(ふん)
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うんちがいいな 林 桂
子育て中の句を中心に編まれた薄い句集から、「さるかに」と題された一連の中の句。
幼い子供との会話の体裁である。
筆者などは、猿を滑らせ、転ばせる役割を果たすのは糞だとばかり思っていたが、糞の代わりに昆布が登場するバージョンもあるらしい。
そして、愛すべき子の選択はといえば、もちろん「うんち」である。
子供はそういうものが好きだからというより、仇討の徒党にうんちが一生懸命加勢するという馬鹿馬鹿しさと可憐さ、目出度さが捨てがたいのだ。ここで変に小奇麗になっては話の賑わいが薄れかねない。そして、その賑わいが、句自体の幸福感にもそのままつながるのである。
なお、三行目の「☆」は実際にこの位置にこのように入っている。
きっぱりした、思い邪無しの「☆」である。
句集『はなのの絵本りょうの空』(2013.2 鬣の会)所収。
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