野口 裕
新年詠 2014 ≫読む
いろいろな人がいろいろな句を寄せている。新年らしく、漫然と見て行こう。
ノイズばかりのA面に初泣を 青山茂根
「B面の夏」というのもあったが、これは大滝詠一「A面で恋をして」だろう。
星遠く四日の顎をのせたまま 赤羽根めぐみ
今年は五日まで余裕ありか。
TV延々火事中継中安倍川餅 池田澄子
東京はそんなことになっていたのか。まるで知らなんだ。
海底に火山噴きつぐ去年今年 池田瑠那
地形変化は、十年単位、いや百年単位か。
マカロンに挟まれている寝正月 石原ユキオ
駄菓子から高級菓子まで、値段様々。寝相もまた。
そこな人破魔矢で背中掻くと見ゆ 岩田由美
孫の手を売っていそうな店はまだ正月休みか。
変電所正月四日よく晴れて 上田信治
発電所よりは手近にある辺鄙な場所。
四日はや母の小言のはじまりぬ 北川美美
三日もよく我慢した、とも言える。
いくたびか地名に見惚れ年賀状 小池康生
市名でも区名でもなく、その下あたり。マンション名でもないはずだ。
ひかりからかたちにもどる独楽ひとつ 神野紗希
ベイブレードとかいう最近のベーゴマはど派手ですな。
正月の母のうずうずしてゐたり 齋藤朝比古
これも小言かな?
元旦や信号無視をしてしまふ 杉原祐之
人通りぱらぱら、車皆無の交差点。
野のひかり入る元日の厨かな 涼野海音
竈とは言えないほどには近代化している台所なのかな?
一億のアイヒマン顔(がほ)初詣 関 悦史
百人一首の西行のようです。
初日の出親父がひどくかすれ声 髙井楚良
お大事に。
元朝の真暗闇の歩みかな 筑紫磐井
日の出見物とはまた奇特な。
戦前来何色と問ふ初鴉 渕上信子
初日記より行間にはみ出でし 堀田季何
えらく微妙な並び。
鏡餅罅割れ怒濤聞こえ来る 松野苑子
息吸つて止めてまた吐き姫はじめ 松本てふこ
えらく大袈裟な並び。
自己破産させた人から賀状来る 山田きよし
金は天下の回りもの。
家に居ればすぐ夕方やお元日 依光陽子
有間皇子か。特定秘密保護法施行は今年か。
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