相子智恵
双六を三つすすんで絶滅す 岡田一実
句集『境界-Border-』(2014.11 マルコボ.コム)より
長閑な双六の遊び風景が一転、下五で覆される。スーッと読んでいってぎょっとした。
子どもの頃のお正月は、ただただめでたく、楽しみなものだったが、大人になると無邪気に喜べるものでもない。年末には一年の出来事を振り返るニュース番組がたくさん流れ、その問題の多さと暗さに気持ちが重くなったりもするし、新年になったからといって、たとえば環境問題や原発の問題などはすぐに解決するものでもない。努力をしても、それを上回るスピードで進行しているようにも思えて、下りのエスカレーターを上るような努力だが、それをやめて進行が進めば絶滅に近づく。
この〈絶滅〉は、どんな動植物よりも、何より人間のことのような気がする。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿