今年も押しつまってきましたが、平日に仕事の合間をぬい、西鶴に関連する企画展を二つほど訪ねてみました。
いずれも会期終了間近なので、番外編としてお知らせします。
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まずは話題の永青文庫「柿衞文庫名品にみる芭蕉―不易と流行―」、後期展は11/3~12/5。
現在、兵庫県伊丹市の柿衞文庫は改修工事のため休館中ですが、西鶴関連の所蔵品も多く、ちょうど10年前には西鶴展があり、愚生もパネリストとして一座した思い出があります。
その折も公開されたお宝が芭蕉に紛れて東京でも見られるのですからラッキーです。
で、後期・出品リストに目をとめると――
・版本『西鶴織留』(北条団水編)2冊
・「皺箱や」句短冊 1幅
・自画賛「十二ヵ月」より八月(伊丹市指定文化財)1葉
自画賛「十二ヵ月」の横には岡田柿衞翁のノート「俳人遺墨帳1」(1948年)もあり、
西鶴画賛に関する貴重なメモを読むことができました。
また西鶴に影響を与えた先達の荒木田守武・句短冊や、先師梅翁・西山宗因の懐紙など貴重な展示もあり、思わず身をのり出してしまいました。
ちなみに隣接する「肥後細川庭園」は雪吊や紅葉がみられ、独り吟行にはよい頃合いかと。
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さてお次は愚生の地元・横浜――神奈川近代文学館「樋口一葉展―わが詩は人のいのちとなりぬべき」、会期は11/28まで。もうギリギリです。
一葉は『日本永代蔵』の一章をまるまる暗唱するほどの西鶴フリークで、代表作『大つごもり』はタイトルからして『世間胸算用』の影響大。
その『大つごもり』をはじめ『にごりえ』『たけくらべ』等のナマ原稿が展示されており、流麗な筆致に我知らず見入った次第です。
ちなみにこちらも隣接する「港の見える丘公園」で冬薔薇がみられ、独り吟行も可。
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「なんや独り吟行って、令和のご時世も独吟ばやりかいな」
はい、ソーシャル・ディスタンスとやらで、吟行もお独り様がトレンドです。
「連句の独吟ははやらんのかい」
コロナ禍、連句はZoomというので興行してまして……。
「……ずーむ? なんや、むーずかしそうやな」
はい、では、次回も番外編を続けます。