浅沼璞
奥様国を夢の手まくら 打越(裏四句目)
夏の夜の月に琴引く鬼の沙汰 前句(裏五句目)
宮古の絵馬きのふ見残す 付句(裏六句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(元禄五・1692年頃)
夏の夜の月に琴引く鬼の沙汰 前句(裏五句目)
宮古の絵馬きのふ見残す 付句(裏六句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(元禄五・1692年頃)
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一言でいえば、奥様の夢に現れた異物「琴引く鬼」を、都の絵馬(道化絵)に見立て替えての転じでしょう。
これを「眼差し」の観点からみると――奥様の異様な夢を描くホラー作家の「眼差し」から、それを京の絵馬に見立てるルポライターの「眼差し」への転換とでもいえばよいでしょうか。
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さて今回の若殿(若之氏)からのメールは、前回ふり返った第三(難波の句)との比較論に言及したものでした。
〈なるほど、難波から京都へ。自註を踏まえると、趣向の違いが多角的にみえてきて面白いですね。「第三」の#5へのリンクと別に、「難波では」のところに、#6へのリンクも追加しておきます。自註への言及があるのはこちらでしたので。〉
「ざんまい#5へのリンクだけやのうて#6の追加、気の利いた編集やな」
はい、いつもいろいろと校合してもらってます。
「わての工房も団水はん要に若手がいろいろ編纂してくれとる」
あー、やっぱり「西鶴工房」説、本当だったんですね。
「そんなん言われとるんかい」
はい、出版のスピードと量、さまざまなジャンル、しかも凝った編集、で「西鶴工房」説が。
「当たっとるけど、これ以上は喋らんで。軽口は禍の門やからな」
えーっ、得意の軽口たたいて門あけて下さいよ。
「知らんがな。門いうたら貞門や。ヘタにたたいたらまた言い争いになるやろ」
……確かに。
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