相子智恵
ががんぼはとまつてはじめてががんぼ 栗林 浩
ががんぼはとまつてはじめてががんぼ 栗林 浩
句集『SMALL ISSUE』(2022.6 本阿弥書店)所収
言われてみればその通りだな、と笑ってしまう。ががんぼは、飛んでいるところよりも壁に止まっているところを見ることが圧倒的に多い気がする。夜に家の内外で見かけることが多いのは、光に誘われる性質が強いからなのだろう。
ががんぼは壁にへばりついてみて初めて、あの足の長さが分かる。〈とまつてはじめて〉は、とぼけた味わいでありながら、鋭い真実なのだ。足はすぐにもげてしまうから、揃っていないことも多い。それもまた、〈とまつてはじめて〉分かることなのである。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿