『ユプシロン』第5号(2022年11月1日)
A5判・本文28ページ。同人4氏の俳句作品各50句を掲載。散文etcはなく、小句集の集合のようなおもむき。
A5判・本文28ページ。同人4氏の俳句作品各50句を掲載。散文etcはなく、小句集の集合のようなおもむき。
三月やノコギリ屋根を雨流れ 岡田由季
雨のカンナ映画の中に人を封じ 小林かんな
文鳥に冬晴れの窓ありにけり 仲田陽子
冬銀河イヤホンで聴く弦の音 中田美子
(西原天気・記)
樋口由紀子
動輪が轢いたんか瑪瑙の鰈
樋口由紀子
こぶしひらいても何もないかもしれぬ
樋口由紀子
羽根生えるまでははんぺんらしくする
月波与生 (つきなみ・よじょう) 1961~
関西人なので「はんぺん」にあまりなじみがない。今ではこちらのスーパーでも店頭に並んでいるが、買おうとは思わない。おでんに入れたはんぺんは他の練り物を圧倒するほどの、そのあまりの場所取りの、膨れ上がり方にどうしても慣れない。
その割に味はいたって淡白でふにゃとしている。
まさかいずれ羽根が生えてくるなどとは想像もしなかった。いずれはこの世から飛び立っていくつもりなのだろうか。正体をみせないはんぺんだがこんな一面があったのか。生きづらいのかもしれない。それまでは飛び立とうなどとは考えてもいないふりをして、はんぺんらしくするとは、なんと健気なんだろう。そして、なんと不気味なのだろう。「Picnic」(No.7 2022年刊)収録。
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西原天気
※樋口由紀子さんオヤスミにつき代打。