
まつりぺきん
ここ 見てて ロバが立てなくなるシーン 翠川蚊
題は「星月夜」。
イメージの幅が広く難しい題で、月は出ていないが星が明るく輝いている夜を指します。
そこにロバという経済動物がいて、立てなくなってしまう光景。
「ここ 見てて」は映像作品を観ながら、視聴済みの主体が初見の相手に対し、これから流れるシーンを注視するよう促すイメージ。
そこには不能へと変化する何かに対する哀感や憐憫とともに、若干の嗜虐的興奮が滲んでいます。
また、差し込まれる一字空けには、どこか未熟な発話を感じます。
漆黒の闇ではなく、少し明るい夜だからこそ見えしまう残酷な何か。
かなりの飛躍を感じつつも、叙情性高く仕上がっており、味わい深い句になっているのではないでしょうか。
「海馬万句合」第二回より。
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