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2013年7月28日日曜日

〔今週号の表紙〕 第327号 ひまわり 山田露結

今週号の表紙〕 
第327号 ひまわり

山田露結


(自分を変えようと思っていた)

「ベランダに花が咲いてるっていいよな。」
ある日、何気なくそう思った。それで近所のホームセンターへ花の種を買いに行ったのが五月。それまで花なんて育てたことがない私だったが、ひまわりくらいなら簡単に咲くだろうと思って、買ってきてその日に種をまいた。切り花用の小さめのひまわりなので咲いたら部屋に飾って妻を喜ばせてやろうと思った。

(自分を変えようと思っていた)

数日すると芽が出てみるみる葉が大きくなった。日々順調に成長して行くひまわりを眺めながら、早く花が咲かないかと楽しみにしていた。

(自分を変えようと思っていた)

ところが、葉はぐんぐん広がってもうこれ以上は大きくならないだろうと思われるほどに成長しているのに、いつまで経っても花が咲かない。何がいけないのだろう。種をまいてからすでに二ヶ月近くが経過していた。

(自分を変えようと思っていた)

ある朝、いつものようにひまわりに水をやろうと鉢を覗くと、茎の先端に放射状に広がる部分を見つけた。「おっ!」と思った。もしかして、これが花になるのだろうか。うん。そうだ、きっとそうに違いない。私はワクワクしながら花が咲くのを待った。しかし、それから幾日か経過してもひまわりは一向に咲く気配を見せない。もちろん、水は毎日欠かさずやっている。

(自分を変えようと思っていた)

現在、私がその放射状の花になるかもしれない部分を発見してから二週間ほど経つのだが、ひまわりはまだ花を咲かせないままでいる。ひまわりは、ひまわりでない自分に変わうとしているのかもしれない。


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2013年7月21日日曜日

〔今週号の表紙〕 第326号 バス停 橋本有史

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第326号 バス停

橋本有史


このバス停は、北海道の道西増毛と留萌の間にあるバス停である。ちなみに増毛は作詞家なかにし礼の出身地であり石狩挽歌はこの地で生まれた。後ろには穏やかな日本海が広がる。

今から60年前、増毛、留萌、そしてその北に位置する羽幌は街の絶頂期を迎えていた。石炭、そして鰊。羽幌は日本有数の良質な石炭を産出、また留萌、増毛は海が鰊の精子で真っ白になるそれほどの鰊が繰り返し押し寄せた。

最後の鰊群来は昭和28年だったと聞く。羽幌炭坑は1970年に閉山された。冬は大荒れの場所だが、この季節は穏やかな風景が延々と続いている。この街の昔を知らない歳だが、海風の中にヤン衆の、そして沖仲仕の声を聞いた気がした。



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2013年7月14日日曜日

〔今週号の表紙〕 第325号 神保町の路地

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第325号 神保町の路地

有川澄宏


1970年頃の神田神保町の路地です。

表通りは世界一と言われる、古書店街です。私もずいぶん世話になりました。さらにこの路地の一角にあった謄写版印刷屋(通称ガリ版屋)で、一年ほどアルバイトをしていたので、何年か後に、懐かしさのあまり訪ねた時の一枚です。

質屋、一杯飲み屋、それに中卒の子二、三人を抱えた零細な製本屋などが、ひっそりとならんでいました。いま、Googleマップでたどってみると、ビルや駐車場などに一変していて、当時の面影はありません。ただ、路地の広さは同じです。

そうそう、もう一軒、小さな鮨屋がありました。志賀直哉の「小僧の神様」の舞台を思わせる佇まいで、アルバイトで学業をなんとか続けていた身には、作中の仙吉と似たような境遇で、私は店の前を素通りするばかりでした(涙)。

もうひとつ。この路地の近くのさくら通りに、「東洋キネマ」という多くの人に親しまれた映画館がありました。

1922年(大正10年)1月、開業初日の弁士は、德川夢声だったそうです。関東大震災で焼けた後、1928年(昭和3年)に再建後は、数々の名画がファンをとりこにしたようで、私も学校とバイトをさぼって、ときどき覗きにいきましたが、映画の題名がいま思い出せません。サボるのが目的だったせいかも知れません。

70年代の初めに閉館、その後、1992年に解体とありますから、この路地の写真を撮りに行った頃は、まだ健在だったはずで、歴史的な建物の写真を撮りそこなったうかつ者です。(ネットにたくさん写真が出ていますから、ぜひごらんください)

この映画館は、多くの文学者の小説や日記にも、登場しているようです。


ありかわ・すみひろ
1933年、台北市生まれ。「古志」「円座」所属。「青稲」同人。web連歌参加。



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2013年7月7日日曜日

〔今週号の表紙〕 第324号 回向院の蓮 鈴木不意

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第324号 回向院の蓮

鈴木不意


梅雨の晴れ間という言葉がぴったりの日。両国にある回向院での吟行で見かけた蓮の葉です。大きな鉢に浮かんだ葉と布袋葵、水の中には藻が雲のように沈んでいました。目高らしきものが泳いでいたのですが近づいたら隠れてしまった。

あまりに緑色がきれいだったので写真に撮りましたが、つくづく自然の色は無限です。色の無限を考えるだけで自然には敵わない、自然をコントロールすることなど不可能だと納得させられます。

七夕の夜、写真を撮った日のように晴れるといいのですが。


すずき・ふい
1952年、新潟県生まれ。「なんぢや」、「蒐」所属。



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2013年6月30日日曜日

〔今週号の表紙〕 第323号 紫陽花 雪井苑生

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第323号 紫陽花

雪井苑生


子供の頃住んでいた家の裏庭に紫陽花があった。今頃の季節になると花を咲かせるので楽しみにしていたのだが、いつもぐるりと縁取りのように咲くだけで、今日は咲いてるかと見に行っても、中の部分はいつまでたっても咲かず扁平のまま。どうしてよその庭の紫陽花のように全部咲いてまあるくならないのか、すごく悲しくて、この紫陽花はダメな花なんだとずっと思っていた。

それが「額紫陽花」だと知ったのは何年も経ってからだった。もちろん今は額紫陽花も大好きだけど、そんな記憶があるのでいわゆる「紫陽花の玉」には無条件で惹かれる。西洋紫陽花というのは日本の額紫陽花がヨーロッパに渡り、向こうで品種改良されたと聞くが、大きな紫陽花が濃い青、紫、あるいはパステルカラーに雨のしずくを散りばめながら咲いている姿は本当に美しい。

紫陽花といえばビスコンティの映画、「ベニスに死す」をも思い出す。主人公アッシェンバッハが滞在していたリドの高級ホテル。そのホテルのロビーにも廊下にも客室にも、大きな花瓶に豪華な紫陽花がこれでもかというほど生けられていた。紫陽花の花言葉は「移り気」「高慢」「無情」「浮気」「あなたは美しいが冷淡だ」。これってアッシェンバッハを狂気のように惑わせ、ついには死に追いやる魔性の美少年タジオそのまま。紫陽花はタジオの象徴だったのだろうか。ともあれヴェールを透かして見るような微妙な表情の変化に魅入られてしまう、タジオ少年の妖しい美しさと紫陽花は見事に響き合っていた。

そういえば「薔薇のような」「百合のような」という表現はあるが、「紫陽花のような美人」とは聞いたことがない。どうして? あんなに美しいのに。もっとも薔薇も百合も花びらを散らせて終わるけど、紫陽花は散ることもせず、最後は汚らしい茶色の玉に成り果てる。「七変化」の名の通りとどまらない美しさ、ちょっと暗い季節に咲くこともあいまって、一言では表現できない複雑な奥深さが紫陽花の真髄なのかもしれない。

紫陽花の雨の季節ももうすぐ終わり……。容赦のない夏がまたやってくる。



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2013年6月23日日曜日

〔今週号の表紙〕 第322号 ホトトギス? 有川澄宏

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第322号 ホトトギス?

有川澄宏


「時鳥」と思っています。

みなさまご存じのように、日本で繁殖するホトトギスの仲間は、いずれも姿形が似ていて、遠くからのちょい見では、判別がつきにくく、悩まされます。

ただ、一声鳴いてくれれば、あっ「カッコウ」(鳴き声・カッコウ)だ、「ホトトギス」(特許許可局)だ、「ツツドリ」(ポポ、ポポ)だ、「ジュウイチ」(ジューイチー)だと、一気に分かるのですが‥‥。

この鳥、写真を撮り終わっても一向に鳴いてくれません。

子供の頃からこらえ性の無い私が、ついにしびれを切らし、「珈琲でも飲みに行こうよ」と若い人たちを誘ってしまいました。私たちが去った後で、やれやれと安堵の声を上げたかも知れません。ここは「鳴くまで待とう‥‥」の家康の忍耐力があれば良かったのにと、反省しています。

図鑑を何冊も当たったうえで、環境も加味して、ホトトギスと決めました。

心情的な理由もあります。何と言っても、万葉集いらいの時鳥人気は今でも衰えていないのでは、と思います。私の中でも一番格好いい鳥のひとつです。昔からいろいろな人生を
重ねあわせて、多くの漢字をこの鳥の名に当てはめてきたようです。

私の家は、丘陵地の林に囲まれたところにあるので、毎年、時鳥がやって来ます。今年の初音は、5月19日でした。例年よりやや遅い飛来でした。今も一日中鳴いています。託卵相手の鶯も鳴いています。

初音も聴いたし、鰹も食べたし、まずまず今年も良い夏の訪れです。 

そして、織田信長の末裔を名乗る、スケート選手織田信成が、「鳴かぬなら、それでいいじゃん、ホトトギス」と言ったとか‥‥。これで良いことにしましょう。


ありかわ・すみひろ
1933年、台北市生まれ。「古志」「円座」所属。「青稲」同人。web連歌参加。



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2013年6月16日日曜日

〔今週号の表紙〕 第321号 薔薇 矢野玲奈

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第321号 薔薇

矢野玲奈


H市に越してきて、そろそろ半年。H市の名物をダーリンに教えてもらいました! カレーパン、トマト、達磨、酸っぱいラーメン、ヤーコン。達磨以外は、経験ずみ。美味しくいただきました。ところが、H市の名物はこれだけではありませんでした! facebook でお友だちがH市に薔薇を見に行った。毎年行っているというではありませんか。行きたいーとお願いしたら、ダーリンが連れていってくれました。

そこは広々としたところでした。薔薇のほかにも様々な草花が綺麗に植えられていて、いつでも楽しめそう。

ランチには移動販売のラザニアを美味しくいただきました。デザートにソフトクリームも食べたかったのですが、これは長蛇の列につき断念。帰りにコンビニでアイスを買ってもらいました。


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2013年6月9日日曜日

〔今週号の表紙〕 第320号 傘 西村小市

今週号の表紙〕 
第320号 傘

西村小市


関東の私鉄・西武国分寺線の恋ヶ窪駅近くの畑に突き立てられていた傘です。

ところで、あなたは何本の傘をお持ちですか?
その中で一番高かったものはいくらでしたか?
その中で一番安いものはいくらでしたか?
これまで何本の傘を置き忘れましたか?
傘を置いていたらなくなったという経験はありますか?

私の答は、持っている傘は5本、一番高かったのは1050円、一番安かったのは105円、置き忘れた数は10本をはるかに超え、傘立てに置いていた傘がなくなっていたことが5回はあります。学校、図書館、書店などで持っていかれてしまいました。古い汚い傘だから大丈夫だろうと思ったのが間違い、古い傘を持っていくことだって多いようです。

1ヶ月ほど前にダメになった傘やたくさんあったビニール傘を処分したので5本という答になりましたが、処分する前には15本はありました。そして窓の面格子には、どなたかが引っ掛けていって下さったまだ新しいビニール傘が1本あります。

今や傘は使い捨ての消耗品といった感じです。ビニール傘でないものもあまり長持ちしそうにありませんし、買うときには、なくなってもいいようなものを選んでしまいます。スーパーで500円くらいの傘を買ってきたら、すぐに持ち手の部分が壊れたり、ワンタッチの留め金がきかなくなったりしたことがあります。「安物買いの銭失い」なのですが、しっかりとした国産の傘を捜してみると、安くても15,000円程の値段。置き忘れることを考えると躊躇してしまいます。

傘を見ると森進一の「おふくろさん」や「核の傘」なんて思い出したりしますが、「破れ傘」がキク科の多年草の名前、「傘雨忌」が久保田万太郎の忌日でともに夏の季語であることをさっき知りました。


にしむら・こいち
1950年神戸市生まれ、埼玉県在住。2007年より「ほんやらなまず句会」参加、2012年「街」入会。



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2013年6月2日日曜日

〔今週号の表紙〕 第319号 プッシュピン 雪井苑生

今週号の表紙〕 
第319号 プッシュピン

雪井苑生


たまたま買ってきてテーブルの上にあったプッシュピンの箱、斜めに射し込んできた夕暮れの光を浴びて、きらきらと輝きだした。あら綺麗、キャンディみたいで美味しそう…なんて口に入れたらタイヘンだけど。光が通過するほんの数分だったけど、思いがけず宝石のような輝きを見せてくれた。

以前はプッシュピンといったらごつい「画鋲」だったけど、よりスリムで軽いこの手のピンは使いやすい。透明感のあるブルー、グリーンが爽やかで気に入ってるので使うのが楽しい。一見ガラスのようだけどもちろんプラスチック、「ポリスチレン」という材質だそうだ。どんなものかと調べてみたら「スチレンをモノマーとするポリマーである」…ってわけわかりません。

ともあれ実用的なモノにある瞬間、思いがけない美を発見するというのはなかなか面白いものだ。コーラの壜を「ボッティチェリのビーナス誕生の海の色」と評した森茉莉のようにね。




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2013年5月26日日曜日

〔今週号の表紙〕 第318号 風蓮湖の小屋 有川澄宏

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第318号 風蓮湖の小屋

有川澄宏


北海道風蓮湖のほとりに建つ、気になる三角屋根の小屋です。

根室市の春国岱で野鳥や野草を見たあと、国道44号・243号・244号をぐるっと廻って野付半島に行こうと、まず風蓮湖脇の44号線を走っていると、風蓮湖を望む草むらの中に、緑色の三角屋根の小屋が、ぽつんと建っていました。

あれは銅板葺に緑青がふいている? でも、そうではなかったようですが…。

この緑色が好きなのは、私が20代後半、建築史家の藤森照信さんが「看板建築」と名付けた商家の、通りに面した二階の一室を、事務所として借りていた時期があったためです。通りから見上げると、なんとも落ち着いた懐かしい建物です。

下のHPに出てくる、早稲田通りの一軒の近くに、私の事務所もありました。青春のひとときです (^_^)b。

看板建築

この三角屋根に興味を持った人が、他にもいました。そのブロガーは、草をかき分け、小屋まで行って、中を覗いたそうです。中には珈琲店の道具らしい物が散乱していたそうです。でも、お店としては狭い、物置としては立派過ぎる、と首をかしげています。

次の日の夜、絶滅危惧種のシマフクロウに会えました。


ありかわ・すみひろ
1933年、台北市生まれ。「古志」「円座」所属。「青稲」同人。web連歌参加。



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2013年5月19日日曜日

〔今週号の表紙〕 第317号 ジャカランダの樹 句童ぐみ

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第317号 ジャカランダの樹

句童ぐみ



最初、遠くの景色の中にこの花盛りを見た時、薄紫の雲が降りて来て樹を覆っているかのようでした。

中南米原産の樹とか。道理で厳寒になるニューヨーク周辺では、見た事がなく、ロサンゼルスへ移って来て初めて目にしました。五月になると咲き始め、母の日の前後に満開となります。この辺りの種類は、葉の出る前に咲くので、薄紫の花がびっしりと枝を埋め尽くします。

上の写真は、ロサンゼルスのトーランス市で撮ったものです。近くに、「ミツワ」と言う日本食料品専門の大きなスーパーマーケットがあり、夏祭などが行われます。金魚すくい、ヨーヨーつりなど、屋台の食べ物とか本格的縁日気分で、小振りですが御神輿も登場、神輿かつぎ同好会も結成されています。どこにこんなに居るのかと驚くほどの日本人の数が集まります。

昔、渡米した日本からの移民達は、ジャカランダの花が桐の花に似ているところから、桐もどきと呼んで、遠い祖国に思いを馳せたとか。当時とくらべ、このグローバル化を、じゃからんだの樹は、静かに見守っているようです。

くどう・ぐみ
1933年、東京生れ。東京育ち。広告デザインを学ぶべく渡米。LAのトーランス市在住。在米46年。日本の宝である俳句を勉強中。無所。



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2013年5月12日日曜日

〔今週号の表紙〕 第316号 飛行機 西村小市

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第316号 飛行機

西村小市



航空自衛隊入間基地(埼玉県)に着陸しようとしている飛行機です。U-4 多用途支援機と思われます。U-4はビジネス機ガルフストリームIVを航空自衛隊仕様に改造したもので、人員や小型物資の輸送、訓練支援等に使用されるそうです。

ライト兄弟が世界初の本格的な有人飛行を行ったのが1903年、飛行機が誕生して110年ということになります。1908年にアンリ・ルソーが描いた「糸を垂れる釣り人」には空を飛ぶ複葉機の姿があります。

日本での初飛行は1910年(明治43年)12月。翌年の6月に石川啄木は「見よ、今日も、かの蒼空に 飛行機の高く飛べるを」という詩「飛行機」を書きました。飛行機は人々を引きつける魅力と新しさを持っていたのでしょう。そして「戦争の世紀」の間に様々な「発展」を遂げました。

わが家の近くに入間基地があり、飛行機を見ない日はほとんどありません。爆音がきこえると空を見上げます。軍用機は好きではありませんが、飛行機の飛ぶ姿は美しいと思います。

にしむらこいち
1950年生まれ。2007年より「ほんやらなまず句会」参加、2012年「街」入会。



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2013年5月5日日曜日

〔今週号の表紙〕 第315号 鯉幟 鈴木不意

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第315号 鯉幟

鈴木不意



初めて下りた多摩センター駅前で見た鯉幟。一本竿に上から、矢車、吹流し、真鯉、緋鯉、子鯉の順というスタイルが一般的だから、この取り付けを見た時は違和感を覚えた。よく見ると上からの順番は守っているがポールではないので、取り付ける人もどうしたものかと考えた末のことなのだろう。

日本の意匠がテーマのシンポジウムがアメリカ開催されたことを紹介した専門誌の記事を思い出した。たしかコロラド州で緑の多いところだったと思う。館内でのディスカッションを終えると、晴れた屋外に参加者を誘い出すと日本人スタッフは持参した鯉幟を広げ始めた。参加者は何事かと見守っていたが、ポールに取り付けられた鯉幟が悠然と青空に泳ぎ始めるや大きな拍手と喝采が起こったのである。

鯉幟には子どもの成長を望む親の願いを託しているが、そこには自然と人の生活の調和が表れている。日本人の季節の意匠には幸福感を見て取れる嬉しさがある。


すずき・ふい
1952年生れ、東京在住。「なんぢや」「蒐」所属。



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2013年4月28日日曜日

〔今週号の表紙〕 第314号 阿佐ヶ谷住宅 給水塔 伊東未歩

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第314号 阿佐ヶ谷住宅 給水塔

伊東未歩



東京の杉並区にある旧阿佐ヶ谷住宅の給水塔です。先日の夕刻、食事の支度をしている途中に急に思いたち自転車を走らせ近所の阿佐ヶ谷住宅へ向かうと、給水塔が強い夕陽に照らされていました。

阿佐ヶ谷住宅は、1958年に日本住宅公団により分譲された集合住宅です。前川國男建築事務所が設計したテラスハウスや、緩やかにカーブを描く道路、なにより沢山の植物が広い敷地内に生い茂り、23区内とは思えないような自然環境に恵まれ、多くの人々に愛されてきました。

その阿佐ヶ谷住宅も老朽化のため再開発をすることになり、もうすぐ取り壊される予定です。給水塔も同じく。50年以上そこに立ち、私たちの生活を見守り続けてくれました。

もうすぐなくなってしまう事実を受け入れなければ…と満開の桜を見に行くと、元住民の方々の最後のお花見の会に偶然居合わせました。みなさんは精一杯の笑顔で見送っていらっしゃいました。それを見て少し心の整理がつきました。

きっとここにはどこの街にでもある立派なマンションが建つのでしょう。せめて今ある緑をなるべく多く残して欲しい。

ここに緑と空に包まれた夢のような空間があったことを忘れません。

いとう・みほ
東京生まれ。阿佐ヶ谷在住。美術書・歳時記などの本作りに携わる。



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2013年4月21日日曜日

〔今週号の表紙〕 第313号 鳥 句童ぐみ

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第313号 鳥

句童ぐみ



LA空港から東へ車で約20分のパブリックコース。会員制のプライベートコースではなく一般に開放されています。ゴルフコースによっては野生の鹿、狐、コヨテ、兎、りす、渡り鳥を含む多種の鳥に出会います。

LA近郊のパブリックコースとプライベートコース合わせると約150, 加州全体では約850、全米では約2万コース近くあります。ちなみに日本ではバブル期に約3500、現在は約2500位で、ほとんどがプライベートコースです。

日本では、キャデイ代, 乗用カート、食事代等々がかかるので、単にプレイするだけで済む加州のパブリック コースでは日本の5分の1から10分の1で遊べます。さらに、シニヤーではライフライン という低所得者優遇制度があり正規料金の3分の2くらいになります。但しこれはLAの場合です。米国は各州それぞれ制度が違いますから、アメリカではとひとくちにいうわけにはいきません。

以上、撮影者の夫よりの聞き書きで、夫は俳句をやらず、私はゴルフをしません。


くどう・ぐみ
1933年、東京生まれ、東京芸大卒。1960年、米国ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン特別生として一年間在学後NYで一年研修。帰国。1965年~68年、東京で結婚、海外広告専門会社のバンコク支店で主にホンダの宣伝事業で共働き。1968年、二人で渡米、NYに8年滞在後LAに移転、現在に至る。夫婦共未だ日本国籍。日本語を誇りとし、俳句を始める。無所属。



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2013年4月14日日曜日

〔今週号の表紙〕 第312号 落椿 有川澄宏

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第312号 落椿

有川澄宏



撮影場所は、東京と埼玉にまたがる狭山丘陵の「出雲祝神社」。

暗い石畳を進むと、高い木々に囲まれた本殿があり、入間市のHPによると、2000年前の創建とあります……?

映画「ホッタラケの島  ~遥と魔法の鏡~」の物語は、この神社から始まるとのことです。私は「となりのトトロ」の雰囲気を強く感じてシャッターを押しました。

高い木のてっぺんには、しばしばオオタカが止まっています。


■有川澄宏 ありかわ・すみひろ
1933年、台北市生まれ。「古志」「円座」所属。「青稲」同人。WAB連歌参加。



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2013年4月7日日曜日

〔今週号の表紙〕 第311号 鉄道

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第311号 鉄道

西原天気



2006年春のことです。東京・神田須田町、万世橋近くにあった「交通博物館」がさいたま市に移設されるというので、出かけました。もとは「鉄道博物館」と呼ばれていただけに(1948年に改称)、鉄道関係の展示がメインです。

(行き交う人の服装が冬みたいなのはこの日が3月13日で、まだ肌寒かったのでしょう)

鉄道とは文字どおり「鉄」なのですね。線路が、というだけでなく。それが体感できました。くわえるに「煉瓦」。鉄道の歴史は、鉄と煉瓦。そう感じました。

さいたま市の「鉄道博物館」も、いつかは行ってみたいものです。


ところで、鉄道が人類にもたらした新しい体験、新しい視座のことは、もっと取り上げられていいと思います。その意味で、橋本直さんの「俳句の自然 子規への遡行」第5回は重要です。
(…)鉄道網は、自分の生活圏を越えて長距離移動をすることで自動的に身を風景の内部から切り離す役割を果たし、さらに車窓というフレームを通してパノラマ的に連続して展開する風景を乗客にもたらすという意味で、先のパノラマ館の仕組みによく似た装置ともいえる。(…)全通した東海道線は、視野におさまる世界をパノラマ化し、その車窓から見える風景を乗客と切り離す装置でもあるだろう。



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2013年3月31日日曜日

〔今週号の表紙〕 第310号 落椿 雪井苑生

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第310号 落椿

雪井苑生



今年はわりと椿がきれいに咲いている。

「わりと」というのは近づいてみるときれいだと思っていた花にけっこう傷がついていたり、開いたばかりなのに蘂が黒くなっていたり…ということが多いからだ。完璧!と思って撮った花なのに、パソコンで見るとやはり黒ずんでいる箇所が見つかってがっかりしたり。

今年はその傷みが少ない感じで嬉しい。

落椿でも完璧に近いほどの美しさに驚かされることがある。

写真の落椿は差し込む太陽光のいたずらで、まるで発光しているような姿に惹かれた。光の移動するまでしばらくの間、かがみこんで見とれてしまった。

紫陽花は「枯れ」桜は「散り」椿は「落ちる」。椿の木は落ちたまだ美しい、夥しい花の真ん中に立っている。



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2013年3月24日日曜日

〔今週号の表紙〕 第309号 田端・大龍寺の篠竹 鈴木不意

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第309号 田端・大龍寺の篠竹

鈴木不意



友人と電話をしていたら、子規の墓の話になってしまった。俳句をやっていない友人だが、大龍寺は家から近いので、案内してくれるという。

寺の方に子規の墓はどこかと聞いたら、篠竹のある方に行けばいいですと教えてもらった。墓の後ろから伸びている篠竹は穏やかな日を浴びていた。



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2013年3月17日日曜日

〔今週号の表紙〕 第308号 駅の鳩 西村小市

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第308号 駅の鳩

西村小市



構内に迷い込んだのか駅のトイレの表示板に鳩がとまっていた。
出入りする人間を閲兵するかのように見おろしていた。
東京の私鉄・西武鉄道のどこかの駅だった。
鳩は「平和の使者」と呼ばれるが、いつか私に爆弾を投下して飛び去っていった。
オリーブの葉をくわえてはいなかった。
日本では「平和」や「希望」に火をつけて煙を吸ったりしている。



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