
まつりぺきん
柔らかな拒絶の上に建てる塔 宇佐美眞一
「塔」と聞いて、何を思い浮かべるでしょう。五重塔、エッフェル塔、今なら東京スカイツリーでしょうか。
ただこの「塔」は、もっとプリミティブなもの――たとえばバベルの塔を連想させます。
単一の言語を奪われ、言葉を分かたれた人々が、相互の理解を断たれ、その共同性を失った物語。
そう考えると、「拒絶」という言葉にも納得がいきますが、この句はそこに「柔らかな」という形容を添えています。
拒絶という本来は硬い印象の行為が、なぜか柔らかい。断ち切りたいのに断ち切れない、人間の曖昧さが垣間見えます。
そして、その「柔らかな拒絶」の上に、また「塔」を建てるというのです。人間とは懲りないものですね(笑)
分断し、距離を取り、それでもまた新しい何かを築こうとする。まるで「今度こそ」と言いながら、結局は何度も同じ場所を歩いているように。
私たちは前進しているつもりで、実はメビウスの輪の上を歩いているだけなのかもしれない――そんな静かな問いを、この一句は投げかけているように思えます。
「フードコートへ放牧」(『ときどき放課後、ときどきパラソル』2025)より
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