2026年5月24日日曜日

【BOOK】 『音数で引く俳句歳時記・夏』『俳句講座 季語と定型を極める』

【BOOKS】
『音数で引く俳句歳時記・夏』『俳句講座 季語と定型を極める』


岸本尚毅監修・西原天気編『音数で引く俳句歳時記・夏』

岸本尚毅『俳句講座 季語と定型を極める』


2026年5月22日金曜日

●金曜日の川柳〔青砥和子〕まつりぺきん



まつりぺきん





副作用かもしれないプリン食べたい  青砥和子

「副作用」という言葉は、歩んできた人生経験や過ごした時間によって捉え方が変わりやすい、デリケートな言葉のひとつだと思います。

そういった少し重い語を頭に置いておきながら、軽やかにパロール味たっぷりな「プリン食べたい」。

重さをほんの少しやわらげています。何となくホッとしませんか?

前後の落差を考えると、破調でありながら口語的リズムがむしろ奏功しているように思います。

もし今後、「副作用」という言葉に多くの方がナーバスになる時代があったとしても、この句を思い出せば、少し気持ちも楽になるのではないでしょうか。

『雲に乗る』(2023)より。

2026年5月20日水曜日

●西鶴ざんまい#96 浅沼璞

 
西鶴ざんまい #96
 
浅沼璞
 

  山吹しぼむ岸の毒水    打越
 神軍春の丸雪におどろかせ  前句
  小車の錦八重の幕串    付句(通算78句目)
『西鶴独吟百韻自註絵巻』(1692年頃)

【付句】
三ノ折・裏14句目。綴目。雑(其場の付)。
小車の錦(をぐるまのにしき)=牛車(ぎつしや)をデザインした大和錦。
幕串=幕を張るための支柱。

【句意】
(伊勢神宮の)小車錦の帳(とばり)、(それを張りめぐらすための)八重の幕串。

【付け・転じ】
神軍の勝利を伊勢の神によるものと取成し、その陣営の具体的な描写へと転じた。
※内外宮(うちとのみや)伊勢 ― 神風(類船集)。

【自註】
かけまくもかたじけなしや、小車の錦は伊勢太神宮の*御戸帳といへり。此ひかり、日本にかゝやき、是を其時の**陣幕にして付よせたり。

*御戸帳(みとちやう)=神仏の厨子などに垂らす帳。  
**陣幕(じんまく)=陣屋に張り渡す幕。軍幕。

【意訳】
言葉に出して言うことさえも恐れ多いけれども、小車の錦は伊勢の皇大神宮の神前の帳に用いられているという。この御威徳の光は日本中にかがやき、これをその戦時の陣幕に思いなして付け寄せたのである。

【三工程】
(前句)神軍春の丸雪におどろかせ

  伊勢太神宮ひかりかゝやき 〔見込〕
     ↓
  伊勢の陣幕ひかりかゝやき 〔趣向〕
     ↓
  小車の錦八重の幕串    〔句作〕

勝利は伊勢の神の御威光よるものと取成し〔見込〕、〈戦場はどんな風景か〉と問うて、陣幕も光りかがやくとし〔趣向〕、その錦や幕串をクローズアップした〔句作〕。


【テキスト考察】
『訳注西鶴全集2』ではこの付句に関し、〈八重は備への十分を現はすと共に、八重の潮路を兼ねて示したものか〉と問うだけでなく、〈こゝは神軍で、想像上のものであるから、海上の陣幕と見るべきであらうか〉とも問うている。となれば、船の描写は一切ないから「幕串」は海から突き出て八重に屹立したものと解せる。かなりSFチックな光景だ。

そういえば西鶴には高屋城跡を詠んだ「月しろのあとや見あぐる高屋ぐら」という発句もあった。月の出の空が白む頃、城跡の空を見上げると、かつての高櫓が……といったタイムスリップ詠である。

2026年5月19日火曜日

【新刊】 小津夜景『漢詩の手帖 書庫に水鳥がいなかった日のこと』

【新刊】
小津夜景『漢詩の手帖 書庫に水鳥がいなかった日のこと』

2026年5月7日・素粒社




2026年5月18日月曜日

【新刊】神野紗希『俳句は肯定の文学 口語・他者・偶然』

【新刊】
神野紗希『俳句は肯定の文学 口語・他者・偶然』

2026年4月1日・朔出版