2026年11月1日日曜日

【週末俳句】逆輸入 西原天気

【週末俳句】
逆輸入

西原天気


文具は、こだわるのはすこし恥ずかしいけれど、まったく無頓着なのも、さびしい。そこそここだわりながら愛したい。そういうジャンル。

さて。

いつどこで買ったかも忘れてしまったペン。よく見るとデザインがキュートで、書き味がいい。赤インクも欲しいと思い、とりあえずネット検索。ところが、ない。

「ボールPentel」という昔からあるサインペンは、見た目がいまどきの新製品とは違うおもむき。クルマでいえば、空気抵抗低減でどんどん丸みを帯びてくる以前の、「四角い感じ」を残した70年代までのデザイン味がある。いい。

目当ての黄色い軸が見つからないので、青いのを購入。

手前がそれ。後ろは文具店で売られている「一般的な」ボールPentel

並べてみると、わかるが、青いほうは軸が細い。色は、黄色いほうがだんぜんかわいい。

ここまで来て、黄色いペンの小さな印字に気づく。FRANCE。え?

これはつまり、Pentel社がフランスで作ったものの逆輸入(?)らしい。

是が非でも手に入れたい。ということはぜんぜんないのだけれど(冒頭の「そこそこのこだわり」を実践)、国内で大量生産するのが黄色じゃない、軸が太くないのは、とても残念。

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なんで、このペンの話が「俳句」なのかというと、俳句は書くこと抜きには成立しないし、stylo(ペン)はstyle(文体)。なわけないか。ともかく、「週末俳句」というこのシリーズは緩く広く話題を受け入れるということです。

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なお、Pentelは、机を眺めてみると、かなりお世話になっているこに気づいた。サインペンのたぐいは3種、0.9mmのシャープペン、それに修正液は30年以上、一途に愛用している。

2026年10月30日金曜日

●金曜日の川柳〔平賀胤壽〕八上桐子



八上桐子





鍵の音すっぽんぽんのどこからか  平賀胤壽

すっぽんぽんがいい。裸を表す言葉は他にもあるが、この言葉にはどこか無邪気で、滑稽で、少しばかり情けないイメージがある。
なにも身につけず、なにも隠すもののない人。そのまっ裸のどこからか、鍵の音?

人はどれほど無防備な姿になっても、いや無防備だからこそ、最後のさいごまで守りたいものがあるだろう。すべてをさらけ出したように見える人にも、どうしても明け渡せない場所や、誰にも踏み込ませたくない領域があるはずだ。

すっぽんぽんに思わず笑いそうになって、はっとした。介護していた頃の、義父の裸体がふわりと浮かんできたのだ。
奇妙に思えた鍵の音とすっぽんぽんが、ひんやりさびしく響き合った。

『句集 水摩』(いりす 2008年)

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2026年10月26日月曜日

〔新刊〕岸本尚毅『俳句一問一答』

〔新刊〕
岸本尚毅『俳句一問一答』


2026年7月/角川ソフィア文庫

2026年10月24日土曜日

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そのほか、どんな企画でも、ご連絡いただければ幸いです。

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2026年10月23日金曜日

●金曜日の川柳〔瀧村小奈生〕西原天気



西原天気





曇天がかたむくときのトム・ウェイツ 瀧村小奈生

何かがこぼれ落ちてきそうな気もするが、それは雨なんかじゃなくて、《曇天がかたむくとき》には、曇天のかけらとか、曇天なりの日のひかりとか、物音とか、歌とか。

思い出すのは、多摩川べりを下ってガス橋が見え始めた頃、友だちからもらったカセットテープからトム・ウェイツの歌。この曲だ。


胸がいっぱいになって、すると、その「ガス橋」という名前までもが、とてつもなく感傷的で。

ああ、それと、カセットテープのちょっと曇った音も相俟って、そのときすこぶる、曇天的かたむき、トム・ウェイツ的かたむき、なのだった。

掲句は瀧村小奈生句集『留守にしてります。』(2024年/左右社)より。

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