西原天気
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
※相子智恵さんオヤスミにつき代打。
立木みな枯れて油のごとき天 生駒大祐
見上げた空が油のようなのだから、晴れているはずはなく、雨でもない、曇っているのだろう。地上の木々がすべて枯れ、さむざむとした景のなかに、ひとり読者としていると、頭上・天上の油が油膜に思えてきて、すると、ここが水の中のような気になってきた。つまり、句集名にある「水界」。
この句があるから、この本は『水界園丁』なのだと、誰も(作者も読者も)思わないだろうけど、私は思っている。
きょう2022年11月28日の空も、ちょうどこの句の感じ。
加うるに、空ではなく「天」という叙述が、上記の感興を生起せしむるにふさわしく、また、この句の何か、おそらく口調・口吻・語りぶり、つまりは響きがもたらす、水中の無音のようなおもむき。
『水界園丁』(2019年6月/港の人)所収。
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