樋口由紀子
還暦はよし友達が二千人
岸本水府(きしもと・すいふ)1892~1965
まどみちおの「いちねんせいになったら いちねんせいになったら、ともだちひゃくにんできるかな」を思い出す。「還暦」は干支が一巡し、赤ちゃんに還ると言われ、ここまで無事に生きられたと年祝いする。
現在よりも寿命が短く、還暦は老いの入り口だった時代に「還暦はよし」とはなかなか言いづらい。現実の諸々を素通りし、肩の力をすとんと抜いて、巧みに切り替える。「二千人」のオーバーな表現も功を奏し、突っ込みどころも用意しているポジティブ感が半端ではない。この余裕、この軽みが水府の持ち味で、一句を生き生きとさせる。一年生からどんどん増えて二千人になった。
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