2011年4月11日月曜日

●「一個人」さんにコメントをいただいた件

「一個人」さんにコメントをいただいた件

西原天気



週刊俳句・第206号に「よろしき距離 金子兜太×池田澄子『兜太百句を読む』」という記事を書きました。「一個人」さんからコメントをいただいき(≫こちら)、拝読し、その旨を書き込んだ。するとこんどは「台」さんが「一個人さんの質問に答えよ」と書き込み(≫こちら)。

「一個人」さんの質問は、次の2つです。

1 あなたの言う「少なからぬ人」「多くの読者」という言葉は、どれくらいの範囲をリサーチして出てきた言葉ですか? 一万人アンケートでもしたのでしょうか?

2 あなたはあのコーナーをきちんと全部読まれましたか?

こういう質問への答えは、1に対しては「いいえ」、2に対しては「はい、拝読しました」。

こ れで記事を終わってもいいのですが、「一個人」さんは、そんなことがお訊きになりたかったのでしょうか。そうではないと思います。私からの回答がほしいのではなく、

質問のかたち を借りた反論

ということです。だから、「いいえ」「はい」と答えても、議論に展開はありません。詮無い、というか、不毛なので、回答はしませんでした。「コメントを拝読した」ということをお伝えすれば充分と考えました。

(リサーチ」とか「一万人アンケート」とか、そういう、まあいえば子どもっぽい箇所に反応すべきでもない。あるいはまた、「いや、あの、一万人も読んでるわけないでしょ?」と冗談のひとつも言いたいところですが、一個人」さんのコメントはそういう空気でもない)

けれども、「一個人」さんの反論(批判)を拝読して、自分の記事の至らなさにも気づきました。

俳句樹」に連載されていた「海程ディープ/兜太インパクト」は少なからぬ人に驚きと失望を与えました(私もそのひとり)。多くの読者にとっては、「なに、これ?」であり、むしろ「金子兜太」を遠ざける負の効果を生みます。」と書いたその部分です。

一個人さんが訝っておられるように、「少なからぬ人」「多くの読者」という書き方は、意図的にちょっと誇張。「客観情勢」と言いたげなわけで、いやらしい書き方になっています。ここは反省せねばなりません。

改めるとすれば、「当該記事を読んだ人の反応は、私の知る範囲ですべて、失望と「なに? これ?」だった」ということになります。「一個人」さんは、「仲間たちにも概ね好評を得ています。もちろん、そういったごく狭い範囲での反応ではありますが。」と書いておられますが、それと同様です。

つまり、海程の人たち(あるいは「一個人」さんに近い人たち)のあいだでは「概ね好評」、そうではない私と私の周囲では、その逆で、不評。

この事実は、人によって、あるいは集まりによって、評価がちがう、見解がちがう、ということに過ぎません。

ただし、こういうことは「俳句樹」や「海程」に限らず、よく起こることです。結社などは特に。

内輪では好評。外では不評。

このことに気づかずにいるよりは気づいたほうがいい。私はお節介にもそう思い、記事の傍流的な話題として触れたのでした。ふつうは、飲み会とかでしゃべるだけなのかもしれません。カドが立ちますしね。「海程」にも知り合いがいますし。でも、書いたわけです。

小集団のなかで、外の目をわからずにいると、内向しやすいのが俳句世間です。これは例えば「週刊俳句」だってそうかもしれない。誰にとっても他人事ではありません。「これをもって奇貨とすべし」というやつです。



2つめの質問に関しても、十把一絡げは、ちょっと良くなかったな、と反省しています。でも、かといって、記事のいちいちを取り上げるべきとは、今でも思いません。

すべての記事が頭に残っているわけではありませんが、コメント欄で触れたように、「俳句史」にとって幸せなのか」 (小野裕三)は興味深く読みました。だからといって、「いい記事もある」と申し上げる気にはなりません。きほん、「信仰告白」。ほとんどが「結社内でおやりになればいいのに」という記事でした。



かいつまんで言えば、繰り返しになりますが、「俳句樹」の「海程ディープ/兜太インパクト」シリーズは、

「一個人」さんのまわりでは好評。私、および私の知る範囲では不評。

と、評価が分かれる。

そんなところです。

いろいろな感想や見解があっていいのではないですか。それとも、一個人さんは、私が、「俳句樹」の「海程ディープ/兜太インパクト」は素晴らしい記事だと言うまで、納得なさらないのでしょうか。



で、忘れてはいけないのは、私が書いたのは、金子兜太×池田澄子『兜太百句を読むのオススメだったのです。(それだけについて書いておけばよかったですか?)

金子兜太の句はやっぱり魅力的だし、この本に収められた対話もおもしろいです。ぜひご一読を。

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