2020年1月23日木曜日

●木曜日の談林〔西鶴〕浅沼璞


浅沼璞








俳言で申すや慮外御代の春   西鶴
『歳旦発句集』(延宝二年・1674)

「御代の春」で徳川の世を寿いだ歳旦吟。



俳言(はいごん)というと俗語をすぐに思い浮かべるが、ここでは漢語をさす。雅語・歌語ではない俳言。

具体的には慮外(りよぐわい)という漢語をさしている。「慮外」は無礼という意味。



「や」は「は」「も」等に代替可能な助詞的用法であろう。だから句は中七で軽く切れる。

ご無礼ながら俳言でお祝い申す、というのである。


生玉万句興行ののち、西山宗因の「西」を頂き、鶴永を「西鶴」と改号したころの作。

「慮外」と憚りながら、新町あたりを闊歩する若き談林の雄姿を髣髴とさせよう。

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