
樋口由紀子
鯖、鰆、鮭、鯛、鮪、然るべく
なかはられいこ(1955~)
寿司屋の湯飲みに書かれている魚の漢字で寿司が出るまでの時間をつぶした。魚の読み方を覚え、こんなにも魚の種類があるのかを知った。「然るべく」とは、「それにふさわしい」「当然そうなるはず」の意味だが、何が「然るべく」なのか、さっぱりわからない。「読点」で魚の名を列挙したあとの突然の着地は「然るべく」の意味だけを取り残した。
急に話を変えて視点を変えずにアナーキーな世界を形作る。一般の言語期範に収まってくれない。SABA・SAWARA・SAKE・TAI・MAGUROと[A]音がとんとんと連続し、SIKARUBEKUで「I」音になり、別モノになるように音韻に工夫もされている。「川柳ねじまき」(11号 2025年刊)収録。
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